近年、環境変動の影響もあり、より安全で安定的な電気の供給が求められています。2020年9月3日に韓国を襲った台風も多くの被害を出し、その影響で釜山市にある原発4基の稼働が中断されました。
東アジア、東南アジアは台風が多く、その影響はこれからはさらに大きくなるでしょう。
しかし見方を変えると、台風のエネルギーを電力に変えることができれば、また違った電力の供給の仕方が可能になります。その一つが風力発電です。
問題は、台風の風速が強すぎて、従来のタービンだと耐えきれない可能性があること。
その問題に挑んでいる日本企業があるので、ご紹介いたします。
世界からも注目されている企業”Challenergy”
東京にオフィスを構える、株式会社チャレナジー。
代表取締役の清水 敦史さんは、もとはセンサーを作る会社で働いていました。その時に起きた災害が東日本大震災です。
東日本大震災で原発事故が起き、清水さんは「原子力から転換する必要がある」と考え、再生可能な代替品の研究を始めたそうです。
そこで行き着いたのが風力発電です。風力発電は、2017年時点で日本の総エネルギー生産量の1.5%しか占めていませんでした。
日本における風力発電の弊害

日本で風力エネルギーの開発を遅らせる原因は多々ありますが、その中の大きな問題の一つが台風です。
台風のエネルギーが強すぎて、従来の風力発電のタービンだと耐えれななかったのです。
そこで清水さんがデザインしたのが「マグナス式 × 垂直軸型の新型風力発電機」。
チャレナジーのタービンと従来のタービンの違い
従来のタービンはプロペラのようなブレードを使用し、水平軸に沿って動作します。ですが、チャレナジーのタービンは垂直軸上に円柱があり、マグナス効果という物理現象を利用して電力をためることができます。
この設計により、あらゆる風向に対応できるようになり、耐久面も大幅にアップしました。
一般的な風力発電機と比較して低回転のため、騒音やバードストライクなど環境影響の低減も期待できるそうです。
株式会社チャレナジーのこれから
すでに沖縄で試験機の運用もしていて、2020年以内に10kW機の販売開始を目指しているそうです。
今後は更なる大型機、洋上化の為の浮体式設備の開発も始めて、2025年には出力100kW級の中型機を量産化することを目標にされているとのことです。
世界に目を向けると、風力発電の技術だけでなく、軽量で頑丈な高パフォーマンスな様々な材質も出てきています。これらが合わさることでのさらなる発展に期待しましょう!
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