産業廃棄物で森林が復活したお話

産業廃棄物

森林はCO2を吸収するだけでなく、水の浄化や生物の多様性など、私たちの生活に見切に関係しています。

このように地球にとってなくてはならない森林ですが、2015年以降、毎年10万㎢もの天然林が失われ続けているとのことです。

そんな森林を復活させようという研究で、多大な効果を発揮したものがあったのでご紹介いたします。

オレンジの皮が森を復活させる

プリンストン大学のダニエル・ジャンツェンとウィニー・ハルバクスが率いるチームが、ジュースメーカーから提供してもらったオレンジの皮など12,000tを、コスタリカの不毛の牧草地に破棄しました。

その結果、荒涼としたこの大地は、緑豊かな森へと活性化したのです。

“It’s not just a win-win between the company and the local park – it’s a win for everyone.”

これは会社と公園にとっての、単なるWin-Winという利害の一致だけではありません。誰もが勝者となったのです。

Timothy Treuer(生態学者ティモシー・トゥルーアー)

https://www.sciencealert.com/how-12-000-tonnes-of-dumped-orange-peel-produced-something-nobody-imagined
点線で区切られた右側がオレンジの皮が捨てられた地域。
画像元:https://www.princeton.edu/news/2017/08/22/orange-new-green-how-orange-peels-revived-costa-rican-forest

ごみ捨てんな!って訴えられる。

1997年、グアナカステ保全地域の北の国境に沿って生産を開始したばかりのオレンジジュースメーカーと提携してこのプロジェクトは開始されました。

それから1年の間、公園内の荒廃した土地に、生分解のためのオレンジの皮などの廃棄物が同社から無料で提供されます。その量はなんと12,000tにも及びました。

しかし、契約が提携されてから1年後、ライバル企業のTicoFruitが「国立公園を汚した」と主張して訴えてきます。ライバル企業がコスタリカの裁判で勝ち、このプロジェクトは2年目で、終了することを余儀なくされてしまったのです。

ふと思い出したので行ってみた

プロジェクトが終了しても、公園内にはオレンジの皮がそのまま放置され、以降の役15年間ほとんど誰からも忘れらていました。

そして2013年、別の研究でコスタリカを訪れていたトゥルーアー氏は、ふとプロジェクトのことを思い出し、現地に行ってみることにしたのです。

現地の近くに行けば、黄色い2Mの看板を立てていたのですぐにわかるはず。そう思っていたトゥルーアー氏御一行ですが、実際にはその場所を見つけるまで数年かかりました。

看板を覆い隠すほどうっそうと木々が生い茂っていて、場所がわからなかったのです。

“It was so completely overgrown with trees and vines that I couldn’t even see the 7-foot-long sign with bright yellow lettering marking the site that was only a few feet from the road,”

木々やブドウの木が完全に生い茂っていたので、道路からわずか数フィートの場所を示す明るい黄色の文字が付いた長さ7フィートの看板さえ見えませんでした

Timothy Treuer(生態学者ティモシー・トゥルーアー)

https://www.princeton.edu/news/2017/08/22/orange-new-green-how-orange-peels-revived-costa-rican-forest
https://www.sciencealert.com/how-12-000-tonnes-of-dumped-orange-peel-produced-something-nobody-imagined

すごく土壌がよくなってた

彼らは実際にその地域を調査し、さらに詳しい情報を得るために、オレンジの皮を捨てた場所と、その反対側の何もしなかった場所の土壌サンプルを持ちかえりました。

1997年に捨てられたオレンジの皮によって、土壌の栄養素は劇的に改善され、その増加量は176%にも及でいたのです。

プロジェクトが頓挫してから、以降16年間の研究データがないので、この間に何が起こったのか正確なデータはありません。

ですが、食品系の産業廃棄物が森を復活させる可能性を秘めているという結果は、だれの目から見ても明らかとなったのです。

■参考リンク

プリンストン大学

SCIENCE alert

RestorationEcology

コメント

タイトルとURLをコピーしました