パンダのうんちっちでごみ削減

産業廃棄物

世界人口が増えるのに比例して、世界中で問題になっているものの一つが”ごみの処理”です。日本での2000年のデータでは、一人当たり1日に1kg以上ものゴミが出ていました。そしてそのうち40%弱が生ゴミです。

生ごみはいろいろと再利用方法もありますが、今のところ可燃ごみとして収集され、ごみ焼却所でほかのごみと一緒に焼却されます。そこでは膨大なエネルギーが消費され、環境へ悪い影響を日々与えてしまっているのです。

もし生ごみを減らすことができれば、燃焼するためのエネルギーを大幅に減らすことができます。そこに一役買うかもしれないのが今回ご紹介する研究です。

パンダ由来耐熱酵素産生高温細菌による食品関連廃棄物の処理

結論から言うと、パンダのうんちっちを利用することで生ごみを大量に削減できるというものです。

この研究は、北里大学医療衛生学部臨床微生物学研究室の田口 文章教授らによって行われた研究で、廃棄物学会論文誌の14巻(2003)2号に掲載されました。

食嗜好の変化とともに増える大量の生ごみ

例えば、豆腐が小規模に作られていた時代には、豆乳の搾りかすであるオカラもその多くが食料として消費されていました。

それが大規模な工業的に大量に作られるようになると、食料としての消費だけでは賄いきれず、産業廃棄物として大量に破棄されるようになってしまいました。その量は全国で年間70万トンほどにもなるといわれいます。

他にも小麦を作る過程で廃棄されるフスマや、ジ ャガイモ粕などいろいろなものが産業廃棄物として処理されています。

毎日大量に出る産業廃棄物(生ごみ)、どうにかできないかと、田口教授らはいろいろな実験を行ってきました。その中の一つがパンダのうんちっちです。

パンダうんちっちから採取した菌で生ごみが95%以上も減った

田口教授らはまず、パンダのうんちっちから採取した菌で、菌床(きんしょう)の育成から始めています。

生産される酵素が70度の温度でも耐えられるな、耐熱性酵素を生産する高温菌をパンダのうんちっちから採取し、常に60度前後を保てる高温細菌叢(こうおんさいきんそう)を育成しました。

そこに、オカラやフスマ、魚屑やその他の野菜くずなどの生ごみを投入し、実験を開始します。

その結果、投入した重量の95%以上が消失したのです。

更なる効率化とエネルギーの採取

田口教授らの研究チームは過去に、シロアリからの水素生成菌をもちいて、いろいろな糖分を水素に効率よく変換できることを報告されています。

これらの研究結果などもりようし、エネルギー回収型生ごみ処理システムの確立を目指して研究を進めているとのことです。

ちなみにこの研究、”パンダ由来耐熱酵素産生高温細菌による食品関連廃棄物の処理”自体は2009年のイグ・ノーベル賞で生物学賞を受賞しています。

さらにちなみに、同年のイグノーベル賞の公衆衛生賞は、一対のガスマスクに素早く変形させることのできるブラジャーを発明したことに対して送られています。

最後にこれを語ったことに特に意味はありません。

■参考リンク

【論文】パンダ由来耐熱酵素産生高温細菌による食品関連廃棄物の処理

EICネット

PS:ガスマスクの一方はブラジャーの使用者が使い、他方は傍観者(例えばカップルの相手)に渡すことができる。とのことです。

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