太陽光発電はCO2排出量も少なく、化石燃料も消費しないので、再生可能エネルギーとしてすでに私たちの生活の中に取り入れられていますね。これからもどんどんコストは下がってくるでしょう。
ただ、”太陽光”というだけあって、その発電量は気候に大きく左右されます。曇りや雨の日、夜の時間帯などは安定して発電できません。
気候や時間帯に影響されることなく発電ができたら・・・
ということで、今回は宇宙で発電して地球に電気を送ろう!という研究をご紹介します。
SBSP(Space-based solar power)
宇宙空間で発電して地球へ電力を送る研究は、宇宙太陽光発電(SBSP)と呼ばれ、1960年代後半から各国で研究が進められています。
太陽エネルギーは地表に到達するまでに、大気などの影響で半分以上が失われてしまっています。それが宇宙空間では大気の影響もないので、天候などに左右されないだけでなく、高い発電効率も維持できるのです。
宇宙空間で発電したエネルギーは、マイクロ波、もしくはレーザーエネルギーに変換されて地表へ送られます。
宇宙空間での建設

宇宙太陽光発電には大きな課題が二つあります。その一つが、宇宙空間にどうやって設備を建設していくかというものです。
現在の技術では、地上で作ったものをそのまま宇宙に打ち上げるというわけにはいきません。国際宇宙ステーション(ISS)も、複数回にわたって投入されたモジュールを、宇宙飛行士によるロボットアームの操作などで組み立てられました。
現状だと宇宙太陽光システムはISSと比較してもサイズが大きく、宇宙建設のためにさらなるコストがかかります。さらなる軽量化が必要になるということですね。
ちなみにISSは宇宙飛行士によって組み立てられましたが、日本での宇宙太陽光システムの組み立ては、無人ロボットでの組み立てなどが想定されています。
宇宙からの送電
宇宙太陽光発電のもう一つの課題は、宇宙で発電して地表に送るまでのエネルギーの変換・送電技術です。
日本の研究チームでは、マイクロ波の使った伝送に力を入れて開発を進めています。レーザーと比較して安全性を確保しやすく、雲や雨なども透過するからです。
宇宙空間で発電したエネルギーを地表へ送るには、電力をマイクロ波へ変換し、それを地表へ射出、さらに地表で受け取ったマイクロ波を電力へ変換。というプロセスを踏みます。
なので、マイクロ波と電力の変換効率や、マイクロ波ビームの方向の精密な制御などクリアすべき点はまだまだ多くあり、日夜研究に励んでいるとのことです。
日々進化するワイヤレス給電
宇宙太陽光発電に向けた研究の中で開発されている技術はすでに私たちの生活の中に取り入れらているものもあります。
その一つがワイヤレス給電です。
今まではほんのわずかな距離でスマートフォンを充電するくらいだったものですが、その技術は日々進化しています。
先日(2020年9月23日)も名古屋大学の天野教授らによって、電力変換効率を大幅に高める技術を開発したとの発表がありました。
私たちの生活から電源ケーブルがなくなる日も近いでしょう。そうなれば私の部屋ももう少しすっきりするはずです。
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